オミクロン株

peopleです

 新型コロナウイルスの東京での1日の新規感染者がなんと14,000人を超えてしまった。変異株であるオミクロン株は、今まで流行したウイルスと比べると、感染した後の重症化リスクが低いと言われてきている。本当なのだろうか。動物を用いた研究の結果によると、オミクロン株は感染しても今までのものとは違って肺まで到達せずに鼻や喉、気管にとどまる場合が多いという。

 動物実験を実施してオミクロン株について検討している多くの研究グループの中で、オミクロン株に感染した動物はデルタ株などの他の変異株に感染した場合と比べて軽症で済むことが分かっている。いままでに流行した変異株は、人の肺を傷つけて呼吸困難を起こしていたが、オミクロン株の場合、感染しても症状がより軽いことがマウスやハムスターを使ったいくつかの研究で分かっているという。

 米国の新聞によると、ハムスターを利用した研究でも同様に、オミクロン株に感染した場合は、症状が軽いと示されている。ハムスターを、今までのオミクロン以前の変異株に感染させると重症化することが示されていた。そのことは、従来の変異株はいずれもハムスターに強い感染症状をもたらした分、オミクロン株を使ったこの研究結果は研究者間では意外なことであったらしい。

 オミクロン株を感染させたハムスターでは従来株と同じく鼻粘膜にウイルスの存在が確認されたが、肺に存在するウイルス量は従来の変異株の10分の1以下にとどまっていたという。

 また、日本と米国の研究者らによる共同事業体によるとハムスターとマウスを用いた研究の結果、オミクロン株に感染させた動物は死亡リスクが低く、体重減少や肺の損傷も軽く、他の大学のグループの肺の組織検体を用いた研究では、オミクロン株は従来の変異株よりも増殖スピードが遅いという。

 海外大学の研究では、従来の変異株は、肺の多くの細胞にある「TMPRSS2」というたんぱく質と結びついてヒトの体内に侵入して肺へ感染していたが、オミクロン株は「TMPRSS2」とうまく結びつけないため、肺細胞には感染しにくいため、重症化が抑制されるのだという。オミクロン株は、デルタ株のように強力に肺細胞に感染しないことが、いろいろなグループによる研究で明らかにされている。 ただし、オミクロン株の感染力がこれほどまでに強い理由は明らかにされていない。(HealthDay News 2022年1月3日の記事参照)

この結果を見てオミクロン株は大丈夫だと判断するのは大きな間違いであると思う。現に強い感染力で大変な感染者が出ており、また死者も多数出ているのも事実である。あくまで実験により従来の変異株に比べたら、若干重症化リスクが低いということであり、警戒感は落としてはいけないだろう。また後遺症も怖いことには変わりはない。