peopleです
サバンナやジャングルで絶対に出会いたくないヤツは多い。
しかし、それはトラでもカバでもない。
アメリカの科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』(日本版は『日経サイエンス』)が2009年に発表したところによると、世界でもっとも恐ろしい陸生動物は、「ラーテル」 (学名メリヴォラカペンシス=Mellivora capensis、別名ミツアナグマ)だ。
『ギネスブック』も、 #ラーテル を「世界一恐れを知らない動物」として認定している。ラーテルは、アフリカ大陸とアジア大陸の草原や砂漠に生息し、ツチブタのような他の生き物が掘った巣穴に棲みつく。見た目が似ているアナグマとは別の動物である。
ラーテルは、ハチミツが大好物。ラーテルもアナグマも、肉食獣の最大グループであるイタチ科に属している。イタチ科の仲間には、フェレットやヨーロッパケナガイタチ(ポールキャット)やミンクやクズリなどがいるが、この中でハチミツを食べるのは、ラーテルだけだ。
ちなみに、学名の「メリヴォラ」は「ハチミツを食う者」という意味である。
ラーテルは大きな鋭い鉤爪(かぎづめ)でシロアリ塚を荒らし回り、鶏舎の金網を引き裂き、ハチの巣を粉々に破壊する。
そのラーテルをハチの巣へと導く役割を果たすのが、ノドグロミツオシエ(英名ハニーガイド=honeyguide)という鳥。ハチの巣を見つけると鳴き声で知らせ、ラーテルが巣を壊してハチミツを食べたあとのおこぼれ(巣の残骸やハチの幼虫)をさらう。
ラーテルはなぜこれほど無敵なのか。その理由はたるんだ外皮にある。
背後から捕まえられても、皮膚の内側で体をねじって反撃できるのだ。
人間の世界でもこういうのに頑張ってほしい。