peopleです。 アメリカ中西部など6つの州を同時多発的に襲った“史上最大級”とされる竜巻。竜巻のなぜアメリカの竜巻はこんなにも大きくて恐ろしい姿なのだろうか。 発生メカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授によると、 アメリカ南部や中西部では南のメキシコ湾から湿った空気が流れ込み、西にあるロッキー山脈を越えて乾いた風が吹くため、低気圧が発達する際に強い上昇気流が発生しやすいためだという。
今回、アメリカ南部や中西部の広範囲で竜巻の被害が相次いだのは「スーパーセルによって複数の竜巻が次々に生み出されたとみられる。スーパーセルは巨大なためなかなか衰弱しないのが特徴で、今回も長時間にわたって州をまたいで移動し、広い範囲に被害がでた」とのこと。
本来、竜巻の発生は春先が多く、12月など冬の時期に今回のように多くの竜巻が発生するのは非常に珍しいとのこと。
教授は気象条件によっては日本でも同じような竜巻が発生するおそれはあるとした上で「日本では、低気圧が急速な発達に合わせて冬でも竜巻が起きるので、決してひと事と思わないでほしい。急発達する低気圧が近づく際には、ベランダにあるものを家の中に入れるなど備えをするほか、雷の音が聞こえたり冷たい風が吹いてくるなどしたら竜巻が起こるサインと思って気をつけてほしい」とのこと。
竜巻の頻発地域である米国中西部(オクラホマ州付近)は、北極からの寒気団とカリブ海からの暖気団が衝突する地域であり、 両気団の衝突で大気が不安定になった時に竜巻が発生しやすくなる。 また、米国中西部の上空には、ロッキー山脈を越えて乾燥した偏西風があり、高層気象観測では、上空に行くに従い、風向が時計回りに変化することが多くなる。 このような気象条件の時は、積乱雲が回転しやすくなり、 これらの気象条件が揃うことにより、米国中西部では、強力な竜巻が多数発生する傾向があるとのこと
日本では、日本の脊梁山脈や沿海州の山に阻まれて、 北極からの寒気と南方の暖気が直接衝突することはあまりない。 また、日本の西方には、偏西風に影響を与えるほどの大きな山脈もない。 このため、極度に乾燥した偏西風が現れ、風向が顕著な時計回りの回転をすることは、米国に比べて少なくなる。このため、米国で発生するような強い竜巻はあまり発生しない。 しかし、低気圧や台風の接近時に、大気の状態が不安定になり、南から温かく湿った空気が流入した時は、 竜巻が発生しやすい気象状況になることがあるとのこと。
いずれにしてもアメリカのトルネードは迫力がすごく、極めて恐ろしい。こんなものに遭遇したらどうしようと、いつも考えてしまう。