バスの思いやり

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俳優の松尾貴史さんの毎日新聞へのコラムで興味深いものがありましたので、紹介いたします。                                        先日、東京・渋谷のバスターミナルに止まっているバスに乗り込んで発車を待っていると、前の方から発車間際だということを悟った女子学生が走ってきた。あと3、4メートルというところで運転手は扉を閉め、ドアの前まで来て、ぼうぜんと立ち尽くす彼女を尻目に発車してしまった。乗る意思表示をしている人がすぐ目の前にいるのなら乗せてあげるべきではないのだろうか。

私がこんなことを言うと「分かっていない」などと言うかもしれないが、深い事情を分かった上でも私の感想は変わらないだろう。定時運行についての厳しい通達、指導があるのかもしれないが、道路事情によっては時刻表よりも遅れることは茶飯事で、定時より前にバス停を通過してしまうバスもある。こんな分かりやすい「いけず」をして利用者らの反感を買う必要があるのだろうか。

その運転手は、マイクでしゃべるも、何を言っているのか皆目聞き取れない。義務で言わされているのでイヤイヤやっているとでも言いたげなほど、ぼそぼそつぶやくだけで、それなら雑音が増えるだけなのでやめればいいのにと感じる。アナウンスに限らず、運転技術や接客も含めて、いい人はすごくいいのに、そういう人たちの努力はこんなことで帳消しになってしまうのが何とももったいない。

同じ路線では前の便を追い抜いてはならないという決まりか、バス停に3台続けて来たことがある。ずいぶん早くにバス停に着いて長く待った人がぎゅうぎゅう詰めの満員の車内に押し込まれ、一番後に来た人が、3台目の空いているバスに快適に座れて、ほぼ3台同時に次のバス停に到着するという現象も起きる。という内容だった。

自分でも昨年同じような経験をして、バスで地下鉄東西線の駅で降りるために、運転手さんに「東西線の早稲田の駅に行きたいんですけど、馬場下で降りればいいのですか」と、たずねた時、「そうじゃないの」って、まるでよくわからないようなそっけない返事だった。バスが馬場下につく前に「次は馬場下、東西線早稲田をご利用の方はこちらでお降りください」という車内アナウンスが流れた。なんできちんと教えてくれないのかと、正直唖然とした。

松尾さんが言われるようにアナウンスに限らず、運転技術や接客も含めて、いい人はすごくいいのに、そういう人たちの努力はこんなことで帳消しになってしまうのが何とももったいないと言われていることは全くその通りであって、バスのいい人のイメージがあなたたちによってすべてぶち壊しになりますよと、同感です。


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