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「望む進路に進みたい」と願っても、経済的な理由で進学を断念せざるをえない家庭がある。昨年スタートした文部科学省の新制度により、低所得世帯に対する支援が拡がり、住民税非課税世帯の高等教育機関への進学率が上昇したという一方、それ以前に受験料や模擬試験代、塾の費用、参考書代などを用意できずに「受験を諦める」選択肢を突きつけられている家庭があるという。お金がかかるのは、やはり大学への進学だ。入学費用だけで国公立大学は77万円、私立大学文系で95.1万円、私立大学理系で94.2万円かかると言われている。この入学費用には、入学金をはじめ受験の際に支払った受験料や交通費は含まれていない。
年間の在学費用には、授業料のほか通学費、施設設備費、教科書や教材、学用品の購入費などがあり国公立で115万円、私立文系で152.1万円、私立理系で192.2万円だという。卒業までにかかる金額となると国公立大学では537万円、私立文系で703.5万円、私立理系で863万円にもなるとのことです。地方から出てきて、一人暮らしなど自宅以外からの通学や、歯学部・医学部に通う場合などは、さらにお金がかかることは言うまでもない。
こうした中、「高等教育の修学支援新制度」が低所得世帯の教育にかかる経済的負担の軽減、また大学進学への後押しとなっていることは大きな前進といえる。ただ、無償化とは言うものの実際には上限があり、低所得世帯でも負担が生じている家庭があること、また中間所得層は恩恵が受けられていないなどの課題もある。子供が何人もいるおうちは大変だ。さらに、コロナ禍で年収が減るなど家計が厳しくなる中、大学を中退しなければならない学生も出始めているほか、大学の進学や授業料の心配をする以前に大学受験に必要な費用の工面に困る家庭が出てきているという。
受験料や模擬試験代、塾の費用、参考書代などを用意できずに「受験を諦める」選択肢を突きつけられている。今年、初めての実施となった大学入学共通テストの受験料は2教科以下で1万2000円、3教科以上で1万8000円だ。共通テストだけで受験可能な大学であればそれでいいが、その後、私立大学を受けるとなると1校につき約3万5000円かかる。第1志望が国公立ならば、私立を滑り止めとして受けることも多いが、その場合は入学金を支払わなければならず、たとえ国公立に合格が決まっても入学金は返ってこない仕組みになっている。
さらに貧しい家庭を苦しめているのが、多様化、複雑化が進む大学受験の「情報格差」。経済的な理由から塾に通っていない子供も多く、予備校などのプロの情報がない中で作戦をうまく練れずに苦戦する子もいるだろう。クラスメートとの交流が少なくなる浪人生となればなおさらで、受験を自学自習で乗り切る厳しさは計り知れないと思う。コロナ禍の大学受験は、いっそう家庭の経済力が学力に直結するようになっており、課金と情報戦による格差が広がっている印象を受ける。経済的な理由で進学を諦める子供が出るということはとても悲しいこと。こうした教育格差の現状をより多くの人が正しく理解し、支援の輪が広がる下ていきたい。
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