命の救済人

people

去年、「死にたい」と思う人たちを救ってきた作家のSさんの毎日新聞の記事を読んで感動した。家族間や学校や勤め先での問題に悩んで、コロナの感染で孤立感を感じて苦しんだ人が多かったと思う。昨年は自殺者が増えてきたというのは新聞でも読んで知っていました。

Sさんは自身の携帯電話番号を公開して、自殺志願者の相談を受けてきた。この方は小説家、画家、音楽家、写真家、建築家などいろいろな肩書を持っておられる方で、1日あたりの相談の電話は、以前は数件程度だったが、2年前の秋から増えて去年春には100件ほどになる日もあったという。自殺志願者の相談を受ける「いのっちの電話」を始めたのは2012年だという。ちょうど東日本大震災の後ぐらいからで、もう10年にもなります。

こんどはたまたま、新型コロナが流行して、孤独にさいなまれて居ても立ってもいられない人からその件数も増えてきているのでしょう。Sさん自身も2009年、そううつ病と診断されたという。大学時代に症状を感じたそうで、08年は1年、11年は4カ月ほどうつ状態が続き、調子が悪ければ布団から出られず部屋にこもったという。「自分は生きる価値がない」と思ったこともあったようで、そんな時は電話をくれた自殺志願者に、「こちらが助けます」と逆に話を聞いてもらったという。

Sさんは今回、政府が孤独・孤立対策担当相を置いて対策の強化を掲げたことについては「苦しんでいる人たちの声、『死にたい』という声は政府に届いていません」と批判されています。Sさんは全く無休でいろんな人たちの命の相談を受けているんです。

長年こういうことを続けられたのは「僕からすれば政府が最も無責任です。自分はあいつらより無責任ではないと思えることを力にしている」という生き方をされています。頭が下がります。多くの命の恩人です。

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