居場所を奪われた子どもたち

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ロシアとウクライナの戦争がまだ続いている。各国が核を持ち合わせている21世紀のこの世界で戦争を仕掛けるなんて信じられない。世界中の多くの人がそう思っているに違いない。しかも、どちらかというと国と国との戦いというよりも圧倒的に一国のトップの個人的感情で戦いを仕掛けている様相だ。今までの戦争で戦争を仕掛けている国の中で、自分の国に対して多くの民衆が「反対戦争」を訴えているなんて、まさに見たことのない光景だ。

ウクライナ西部に隣接するポーランドの国境の町、メディカ。3月13日朝、国境検問所を歩いて越えてきたオレナ・ジンチェンコさんの長女ヤロスラバちゃん(4歳)は、ボランティアからぬいぐるみを受け取ると久しぶりに明るい表情を見せたという。「おもちゃも教科書も学用品も何も持ってこられなかったんです」とオレナさん。ウクライナ南部クリビリフで、エンジニアの夫と小学2年生の長男イエゴール君の4人で暮らしていた。仕事はスーパーのレジ係。「住まいや子供たちの学校、幼稚園にも満足していました」と。2人の子どもを連れてポーランドへ逃げてきた。2月下旬に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻で生活は一変した。

子供が教育を受ける機会を失ったのが残念でならないという。「夫の安全が心配です。子供たちも『早く家に帰りたい』と話しています。ただ元の生活に戻りたいだけなのです」。オレナさんは手で涙を拭った。ずーと平和に暮らしてきたのになんで突然、こんなことになるんだろう。しかもロシア軍の攻撃で今日まで多くの子供たちの命が奪われている。

検問所近くの路上では、生後3カ月という男児がベビーカーの中で寝ていた。ウクライナ中部から避難してきたボロニナ・バレンティナさんの五男ムイコラちゃんだ。ボロニナさんは9歳までの6人の子供をバスに乗せて移動し、13日未明に国境を越えたばかりだという。「出入国手続きの際、子供たちが散らばらないようにするのが一番大変でした」。疲れ切った表情だが、子供たちは配られた人形や車のおもちゃを手にしてはしゃいでいる。「通信状態が悪く、家に残る夫とはなかなか連絡が取れません。心配です。戦争は大嫌いです」

本当です。1人の権力者のエゴでなぜ、こんなに多くの人の命を奪う権利があるのだろう。みんな生きているんですよ。一生懸命生きているんですよ。なぜ、そんな簡単なことが分からないのだろうか?不思議でしょうがない。

毎日新聞記事参照