#津波体験の心の痛み

3月13日の新聞記事に「東日本大震災」の体験記事があり、当時小学5年生であった現在26歳の男性が紹介されていた。あれから15年も経っている。

#大津波が襲ったあの日 、あの時、彼は地元宮城県の小学校にいた。震度6強の揺れの後に校舎の3階に避難していたが、靴を取りに1階の玄関へ引き返した。校庭を見ると、黒い水が地をはってやってきていた。「小さな波だし少し足がぬれるくらいかな」。多くの他の地域でもそう思った人が多かったようだ。そう思った瞬間、後ろから大波が押し寄せてきた。田んぼの泥のようにどろどろと重い波だったとのこと。5人ほどの大人が避難しようと学校に向かって走ってきて波がすでに襲ってきたようだ。その中の1人の男性が彼の目を見て、手を伸ばしてきたという。だが「つかめば、自分はここで死ぬ」と直感し、手を伸ばし返すことはできなかったという。校庭に止まっていたたくさんの乗用車とともに、その男性は波にさらわれていった。彼は流されないよう、コンクリート製の手洗い場にしがみつくことで必死だった。

学校に流れ込んだ波にのまれ、たまたまつかめた下駄箱をアスレチックのように渡り、階段に必死にたどり着いたという。そういう状況であったので、恐らく小さな小学生には1人の男性の伸ばしてきた手を摑まえるってことは無理だったでしょう。上の階に戻った記憶はあるけれど、その後何をしていたかよく覚えていないとのこと。それから3日間、ほぼ何も食べられない状態が続いていた。

初めにこの話を聞いた時、小学生ながら助けを求めた手を掴めなかったことが、この少年の心をどんなに痛めたのだろう、#深い心の傷 となってしまったのではととても辛い、気の毒な体験であったのだろうと言葉にならなかった。
その後、先生からは震災の話をしないようにと忠告されたという。少年はあの日、手を差し伸べられなかった重い記憶も打ち明けられなかった。スクールカウンセラーや教員に話せば配慮をしてくれたかもしれない。ずっと心の中で苦しんでいたんのでしょう。この時期、とても辛かっただろうと想像ができる。
時を経て、2015年3月の中学校卒業式後、彼は他の人達とシンポジウムに登壇し、震災の体験を語ったという。 いろいろな人のアドバイスもあったのだろうか、 「この話は多くの人に聞かせるべきだ」と気持ちも少し楽になったようで、その後に出版も行ったという。


今の気持ちは後輩たちに向けて吐き出せない気持ちがあったら、誰に見せるためでもなく、自分と向き合うために「ゆっくり時間をかけてでも言葉を紡いでほしい。それはきっと、あなたが立ち直る助けになるはずだ」というところまで向き合えるようになったようだ。

福島県のO氏(震災当時62歳)は津波の時、大津波警報が出ていたが「いつもと同じ、大したことはない」と200m先の海岸に足を運んでいた。海岸へ着いて波を見ると海岸線ではなく、波は逆に沖へ沖へと急速に向かっていった。それは見たことのない状況で、とてつもなく大きな#引き潮 だった。O氏は直感的に大変な津波がやって来ると感じ、慌てて家の方に向かっていったという。
家には妻と2人の近所の高齢の女性がいて、O氏はとっさに92歳の女性を背負い、その女性の両手を妻ともう一人の女性が掴んで4人で高台の神社に向かったという。

神社の手前の石段に来た時、既に津波は後ろに迫ってきており、砂埃が舞い上がったという。一瞬、O氏はバランスを崩し、背負っていたおばあさんが背中からずり落ちてしまった。
もう迷う暇もなくO氏は二人に「ぱっぱ(おばあさん)の手を放せ」と叫び、3人は石段を登り命は助かったが、おばあさんは波に飲み込まれてしまった。
「あの時迷っていたら、3人の命はなかったでしょう」とO氏は振り返るという。

でも「あの時のこちらを見ていたおばあさんの目の色だけは、今でもこびりついて離れない」と言う。
震災の後、目が覚めると枕が涙でびっしょり濡れていたこともあったという。おばあさんのことで自分が追い詰められていくことを感じたという。
あるとき友人のところで背を向けてポツリとその話をしたら友人は「初めて聞いたよ」と答えてくれて、それから心のおもりが少しづつ薄れていったと言う。

人の命に係わるこういうことは、めったには体験しないだろうが、心の中で苦しんでいる人がまだまだ何人も居られるでしょう。何気ない言葉で和らげてあげられればいいのでしょうが、苦しんでいる人には、本当にその人の気持ちにならないと理解できないと思います。
きっと今でもこのお二人のように、何年も何年も苦しんでおられる人たちがいることは想像に難くない。津波が来たから、天災だからと簡単には済まされずに一生悔やんでいる方も多いことは決して誰もが忘れてはならない。

津波に流された夫、最後に叫んだのは「私の名前」…あの日の後悔を胸に(2024年3月2日掲載)福島中央テレビNEWS NNN

『何もない』
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