#子どもの貧困

子どもの貧困について考える。とても大きな問題であると思うし、皆が分かっていても他人事として、多くの人が蓋をしている問題でもあると感じてしまう。
連合総合政策推進局長 佐保 昌一氏、子ども・若者貧困研究センター長 阿部 彩東京都立大学教授、豊中市社会福祉協議会 勝部 麗子事務局長の3名の方の興味深い対談があり、ご参考にご紹介しながら考えてみたい。

少し前までは、貧困の子どもが日本では7人に一人と話題になったことがあるが、対談のお話しでは2021年の子どもの相対的貧困率は11.5%、9人に一人と若干改善されたのは、お母さんが働く家庭が増えたからかもしれないが、それでも#ひとり親世帯 に限ると貧困率は44.5%という高い割合になっている。ふたり親世帯は圧倒的多数のため、何らかの手が差し伸べられるひとり親家庭の子どもより、貧困に苦しむ子が数としてははるかに多く、ふたり親世帯には政策的な支援がほとんどないのが現実的なことだという。今では、誰もがあっという間に貧困に落ちうる社会になり、経済的な貧困に加え、子どもが親以外の大人に接する機会がない「人間関係の貧困」も深刻化しているという。経済的に中間層が多かった時代には誰もが経験できた「遊園地に行く」というようなこともできない子供も増えたという。

2024年4月に成立した改正生活困窮者自立支援法では、子育て世代に支援伴走をする事業の対象となるのは、主に生活保護の受給世帯で、受給世帯以外にも家賃などのサポートを必要とする低所得家庭はたくさんある筈なのに、こうした家庭の子どもたちを支える体制がないがしろにされているというのが現状であるという。生活保護を受給する子育て世帯は1%もないため、当然のことながら支援対象から外れた子どもの方がはるかに多いのが現状です。生活保護の受給者以外に対しても、所得に占める家賃の割合が一定レベルを超えたら補助を支給する家賃補助の制度化も検討すべきと対談では提案されている。 

改正子ども・子育て支援法で児童手当の所得制限が撤廃され、結果として、高所得世帯は子どもへの投資を増やしたり、もう1人子どもを持ったりして子育て世代は低所得層と高所得層に二極化したといえる。
大きな困難に直面している#低所得世帯 には何の恩恵もなく、むしろ格差拡大を招きかねないような内容であることには、大きな疑問を感じるという意見であり、自分も全く同感です。
だいぶ世に広まってきた#子ども食堂 などさまざまな生活水準の子どもたちが通えるのは、いいことであると思う。というのもこども食堂が「貧しい子を支援する場所」と認識されると、本当に必要とする子が利用をためらい、利用者がいじめのターゲットになったりする可能性があるからですね。

日本の子どもの貧困の根底にあるのは、親の失業ではなく親が必死に働いているのに子どもを十分食べさせるだけの賃金を得られないことと指摘されている。それゆえ最も効果的な対策は、賃上げをはかることによって正社員だけでなく、非正規などの働き手、自営業の人などすべての労働者が相応の対価を得られるという当たり前の環境を実現することに尽きると言っている。それはまさに自分自身が前から主張している貧困や少子化などへの根本的な対策と一致する考え方です。先ほど触れたように、母親の就労率が上昇し所得が増えて若干貧困率が改善されても、#両親が夜遅くまで働く ことが、子どもの生活や学力、健康に全くいいことではないのは明白です。家族が一緒に夕食を取れる時間に帰宅できるよう、働き方改革も政府、企業界も一緒に社会全体で考えなければいけない問題です。

また貧困問題は、生活困窮者自立支援法や子ども・子育て支援法の枠組みに留まらず、国家のあらゆる政策に関連しているであろう。今のように下町を再開発して高級マンションを乱立させたら、低所得層を都市部から排除することになるだけ。そういうことを世の中の人はきちんと考えているだろうか?
教育政策も重要で、#教育費が高騰し 、多くの子供が奨学金を借りている。子どもが社会に出る時、返済する奨学金ですでに大きな借金を背負う事態になっていることももっと対策が必要だ。

地方格差もだんだん大きくなっていき、通学可能な圏内に大学も高校も中学すらないといった地域では学費以外の出費もかさんでしまう。そうなると、低所得の家庭で育つと人生の選択肢が狭まり、希望も持てなくなってしまう社会で、子どもを持とうと思えるだろうか。国として子どもをどう育てるべきか本気で考えないと、所得格差、#地方格差 がどんどん広がり、最大の懸念である少子化も加速してしまう。

そもそも、最近は子どもが貧しかったり数が減ってきているなどの問題が、将来の労働力不足の面から大変であるという発想から生まれてきているが、労働力不足を考える前に、原点に返れば、子どもは子どもであり人間であると対談でも強調している。そのことに、全ての日本人は考えなければいけない。「少子化だから子どもが減っては大変な事になる」。そういうことではなくて、「子どもというのはみんなで守っていかなければいけないんだ」という考えに戻って、すべての子どもが幸せでいられる社会こそ大事であり、そのためには貧困の解消が不可欠だ、という考えを国民すべてが肝に銘じて考え直さねばならないと思うのだが。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE02E2Y0S4A800C2000000/ 休み1日2食以下34% 貧困率高く – 日本経済新聞の記事を掲載いたします。





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