コロナ渦と生活保護

peopleです。

ー新聞記事からー

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で暮らしに行き詰まっていても、生活保護の受給を拒む人たちがいるという。その理由は申請の時に、自治体が親族に援助できないかを連絡する「扶養照会」があることや周り人々の差別や偏見への恐れが背景にある。コロナ渦で国は生活保護を「国民の権利」と伝え、生活保護の扶養照会については厚労省が2月、『親族と音信不通になっていなくても縁が切れて関係が著しく悪い場合は扶養照会をしない』と、問合せの範囲を狭くした。それでも多くの人は連絡しないという保証がないと抵抗があるみたいである。

福岡市内の公園で46歳男性は、NPOが開く炊き出しに並んだ。路上生活を始めて1週間ほどだという。日雇いで勤めていた建築会社がコロナ倒産し、寮も閉鎖。妻子なく、インターネットカフェに泊まるうち、金が底を突いたという。生活保護はもらっていない。ずっと前に消費者金融からの借入約200万円を親に肩代わりしてもらったので「申請で親に連絡がいく。もう迷惑かけたくない」。勤め先の倒産も伝えていない。あてはないし携帯電話もない。

別のNPOの炊き出しに来た31歳男性も職を失っていた。所持金はゼロ。約1週間、家にあった酒と水だけでしのいでいた。飲食関係の会社で契約社員をしていた。1月に新型コロナに感染し、世間の目が厳しいと職場には伏せた。著名な親族がおり、仕事に影響が出てはいけない、とも考えた。4月に仕事中に熱っぽくなり、検査結果は再び陽性。上司に前回の感染を知られ、退職願を出すよう言われ従った。生活保護は4年前に受けたことがある。親と関係が悪く、その時、申請時に役所で「親に連絡するなら死ぬ」と、20年話していない兄にだけ問い合わせると説得され受給したが兄から親に話が伝わった。「生活保護なんか受けて縁を切ってください」と親に突き放された。だから受給をためらう。家賃や携帯電話料金を滞納し、携帯は止まった。

あるNPOには暮らしに関する相談のメールが毎日20~30件届く。最も多いのは生活保護関連で、「家族に連絡されるなら受けたくない」と悩みを明かされる。生活保護法は、家族や親族の援助が受給に優先するんだと定める。一方で厚労省は以前から、親族でも70歳以上の高齢者や、本人と交流が20年間ない場合などは扶養照会をしないと自治体に通知しているという。それでも一律に親族に問い合わせる例は目立つ。

確かにまづ親族で助けてやってくれないと困るという考え方は理解できる。ただし、今の時代のように核家族化して複雑になると、親族でも全く遠い存在の親族と呼べないケースもある。やはり、丁寧に話をして、連絡(通知)は不要と判断されたら、きちんと約束は守ってあげないといけないと思う。そうしないと人の命が失われてしまいます。

生活保護                                      受給申請者を援助できるかどうか親族に問い合わせる「扶養照会」の対象は、父母や子、祖父母、孫、きょうだい、配偶者ら。特別な事情があれば、おじやおばなども加えられる。