生涯の目標

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東日本大震災の時に脚光を浴びた方で、大学を出て朝日新聞社に入社されて大震災の福島第一原子力発電所事故を受けて始めた月1000円以下に電気代を抑えるほどの徹底した節電生活を書いたコラムが話題となって、古舘伊知郎キャスターからオファーを受け報道ステーションに3度出演された稲垣えみ子さんというフリージャーナリストの方。この方の随筆がとてもこれからの人生に参考になった。

稲垣さんはその後、朝日新聞を退社され、随筆など書かれてきている。退社後に「卒業旅行」ならぬ「退社旅行」に出かけたとのことで、人生その後、贅沢できるか分からず、南インドのアーユルヴェーダ・リゾートに3週間ほど滞在するという超ゼータク旅行に出かけたとのこと。美しい海辺のリゾートに長期滞在して長年の夢を達成できるマッサージ三昧の旅行だそうです。

楽しい旅にもショックはあったようで、リゾートの中は、どこもかしこも完璧な楽園なのだが、一旦ゲートを出て幹線道路に突き当たると、否応なく目に飛び込んでくるのはまさかのゴミ・ゴミ・ゴミの洪水だったという。自然豊かな地域のはずが、道路脇に穴を掘って埋めたプラスティックゴミの量が多すぎて埋めきれず、どんどん地上に溢れ出てきて収拾がつかなくなっていたとのこと。この地域の観光の目玉で世界的にも有名な川下りのボートに乗ってきたというアメリカ人によれば、水面のそこら中にプカプカとゴミが浮きまくって、楽しむどころかどうにもやるせない気持ちになったと言っていたとのこと。

日本では街中にゴミが散乱しているということはない。でも、ゴミは消えてしまうわけではない。ゴミの燃えカスや燃えないゴミは処分場に埋め立てられるが、稲垣さんがチェックした令和元年度の環境省の資料では、二十数年後には埋めたてる場所は日本列島からなくなってしまうという。日本ではうまいことゴミを移動させ、見えない場所に持って行くことで、ゴミなどまるで「なかったこと」のように振る舞っているだけであって、それも早晩破綻しかねなく、結局は日本もこの南インドと何ら変わらぬ状態にあるのではないだろうか?と投げかけている。

稲垣さんは豊かさの中を生きる私たちこそ、まさにこの世にゴミを増やし続けている一人である。この道路脇にあふれ出たゴミは、私たちが出しているゴミと地続きなのだ。綺麗な川にゴミが浮いてるのも我々のせいかもしれない。これからの人生の目標として「プラゴミを出さない」ってことを一人勝手に掲げるっていうのもアリと考えた。私はこれから、何よりもその製品が「プラスティックかどうか」あるいは「プラスティックに包まれているかどうか」を購入の基準に高く掲げようというのである。第2に、このアイデアが素晴らしいのは、これまで崇めてきた「お金」という、神のごとくわが人生を支配してきた存在からの脱却を意味するということであると言われている。

第3に、このアイデアの愛らしいところは、自分は決して孤独ではないという妄想で人生を満たしてくれるところで、日本のどこかの店でプラスティックに包まれていないものを探し出して買おうと奮闘努力するたびに、南インドでお世話になった優しくお茶目なインドの方々を思い浮かべ、その方々の幸せに私はほんのちょっぴり貢献しているのだと思えるという。

これから先、何の資格もスキルも、そしてお金も不要で、つまり私はまったくお金をかけずに、生涯かけてチャレンジするに値する目標を得たんじゃないですかね? しかも、やるかやらないかは自分次第。上司がバカだとか社会が悪いとか政治がなってないとか、そういう自分の力じゃどうしようもないことに一喜一憂するストレスもないんである。と言い切られている。……


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